跳ね馬だって映画が好き
主にケーブルで流れる映画をだらだら見て感想を書いています。 決して評論や解説ではない、ただの『感想』・・読んでってくださる?
『おろしや国酔夢譚』
おろしや国酔夢譚 特別版 おろしや国酔夢譚 特別版
緒形拳 (2005/01/28)
角川エンタテインメント
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原作:井上靖
主演:緒方拳


井上靖とのファーストコンタクトは「蒼き狼」
あまりのスケールのでかさ、小難しそうに難解な漢字がズラズラ並んでいるのに読まずにはいられない迫力ある物語に

井上靖、偉大なり。

と感嘆したものですが、そんな彼の作品で多分一番好きで何度も読み返したのがこの原作、今も私の本棚の隅に古ぼけた背表紙を見ることができます。

江戸時代、嵐でアリューシャン列島に漂着した大黒屋光太夫率いる乗組員17人
日本に帰るべく道を探るものの、鎖国状態の日本との国交がないロシアにはなすすべなし
どうするのか?
何としても故郷へ帰りたい。
船は?
資金は?

立ちはだかる無数の壁を乗り越え、
10年の歳月をかけ決死の覚悟で挑んだ帰郷への旅。
映像でも過酷な旅の様子は描かれていますが、
いかんせん原作の迫力には及ばず、ちょっとガッカリ。
アムチトカ島からの脱出、オホーツクでの厳しい越冬
厳寒のシベリアを駆け抜けた命がけのソリ旅。
ページをめくるのももどかしいほど私を夢中にさせた原作に比べれば
何故かするりと見れてしまうのが

おしいおしいおしいよ〜

何故だ?
井上先生の比類なきペンの力によって私の脳内はぐるぐると活動し
見たこともないアザラシ猟やオホーツクの港が絵を書ける位(無理だけど)
リアルにイメージされていたのがいけなかったんでしょうか。

まあ、そんなギャップはありしも
この映画の意味は「そんな歴史の1ページを知る」事にあるんじゃないかと思います。
光太夫達以外にもあの時代ロシアに漂着した漁師はいたし
彼らは絶望の中、故郷を夢見ながら果てていったのだろうし
そんな埋もれた話が光太夫達の記録により現代の私達に伝えられている。
あぁ、そんな事もあったんだな、と
そう思うだけでも全然オッケーじゃないでしょうか。

光太夫を足がかりに鎖国日本の扉を開こう、ていうか
イギリスなんかに先を越されてたまるか!日本はロシアがいただきだぜ!
と魑魅魍魎うごめく当たりも、ただの漂流記とは全く違う味を見せております。

望郷の念に駆られながらも、
長い年月に耐えられず現地の女性と結婚したり
ロシア正教に救いを求めたりした仲間との別れが切ない。
帰国後の光太夫が幸せだったのか?
それはもう、誰にも分からないことであるけど
彼が生きたロシアでの10年は、今も語り継がれ
その不屈の精神と高い人間性に誰しも尊敬の念を持つことと思います。


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