跳ね馬だって映画が好き
主にケーブルで流れる映画をだらだら見て感想を書いています。 決して評論や解説ではない、ただの『感想』・・読んでってくださる?
「SWEET SIXTEEN」
カンヌ国際映画祭脚本賞
監督:ケン・ローチ

心がヒリヒリしてる

ジャケットに書かれたこの言葉が胸に突き刺さります。
タイトルとは程遠くSWEETさゼロ、ナイフでジワリと刺されるような気分。

リアムは崩壊した家庭で育ち、16歳の誕生日前日に刑務所から出所する母親を心待ちにしている。
その時がきたら今度こそ今の生活を抜け出そう。
小さなトレーラーハウスを手に入れて母と姉と暮らすんだ。
その為には金がいる、彼は親友と商売を始めるが、そこから事態はどんどん悪化して思わぬ方向へと転がりだしていく・・・。

母の愛を求めて必死のリアムと、現実を受け止め常に正論の姉が対照的
機転が利いて度胸もあるリアムが、哀しいまでに執着するのは
家族で普通に暮らすという「ほんの少しの幸せ」、なのにそれすら母親にはわからない。
母より女として生きようとするジーン、
「一緒に暮らそう!2人で幸せに暮らせるよ!」
必死に訴えても言葉は虚しく響き
彼がそのためにどんな危険を冒し、どれほどの決意だったか、哀れなジーンはそれを受け止める事が出来ない。

リアムに用意されたラストはがっくりというか、放心状態というか
全く救われない彼にかける言葉なんて・・ない。

ローチ監督が3ヶ月間オーディションを繰り返しイギリス中を探し回ったリアム役には当時プロサッカーチームに所属していたマーティン・コムストン。彼はサッカー選手と役者の間で揺れ動き、ついにプロチームを辞めて役者に専念することになります。
大げさな演出をしないローチ監督らしく、彼も複雑な感情を細かい演技で表現していてとても印象的でした。
生まれた環境のために教育を受ける機会もなく、貧困から抜け出せず犯罪に手を染める若者達。
犯罪を犯すかどうか、それは確かに彼ら自信が選択していることだけど、
もっと違う家庭に育っていれば、全く別の人生があっただろう。


社会に対する怒りが静かなメッセージとして伝わるケン・ローチらしい作品。


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